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「三役会及び先進事例調査視察」の開催状況報告

2020.8.7

 7/31(金)にスマートシティAiCT(会津若松市)で三役会を開催しました。
三役会は理事長及び副理事長(3名)、顧問(理事長経験者)、専務理事の6名により特別な事由がない限り毎月開催しています。三役会では組合運営・経営戦略の検討や理事会議案等の事前確認、設計・工事監理業務に関する情報交換・共有等を行っています。
 当日15時から開催した三役会では、新型コロナウイルス感染防止対策の一環として延期していた今年度の事業計画の「海外研修会」を中止することとし、その他の研修会等については9月以降順次開催する方向で次回理事会に諮ることとしました。併せて、近年の受注機会の減少や震災復興事業等が最終年度を迎えることなどを勘案し、「持続可能な組合の将来像」を継続的に検討する場として「仮称:組合のあり方検討委員会」を設置することとしました。

 また、三役会開催に先立ち14時から当組合顧問の白井武男氏((株)白井設計)が関与したスマートシティAiCT(アイクト)の施設見学と同施設の企画・設計施工・運営に至る取組みを研修しました。
 本施設は、会津若松市が取得した「JT跡地」にICTオフィス環境整備事業(地方創生拠点整備交付金)として、公募型プロポーザル方式で選定された地元企業が同市と官民連携PPP手法により約25億円(市負担10億円)で整備した施設です。地元企業は八ッ橋設備や白井設計、地元金融機関等が参加し特別目的会社(SPC)「Aiyumu(アユム)」を設立し15億円の融資を得て約25億円でオフィスを整備し20年間の管理運営から企業誘致も行うなど官民連携でリスクをとった新たな事業です。

 スマートシティAiCTと名付けられた施設はS造3階建てのオフィス棟と木造平屋建ての交流等によって構成されており、オフィス棟は外装材にCLTを採用、内装材の一部に地元材を使用し、貸室は15mスパンの無柱空間とし稼動間仕切り等によりレイアウト変更も容易に対応できるよう設計されています。棟間にデッキテラス配置し屋外の自然環境に触れながら相互交流できる空間があり、隣接する交流棟でも構造体と内外装の仕上げ材に地元材が用いられています。

 本来、本施設は健康や福祉、教育、防災、交通など様々な分野にICTを活かそうと取り組む会津若松市に新たな拠点となる施設として整備されたものです。鶴ヶ城のほど近くにICT企業を集積するためのオフィスエリアとして開所したAiCTは少子高齢化や人口減少が全国的な課題となる中、首都圏からの人の流れを生み出し新たな雇用を創出しようと取組み、現在は外資系総合コンサルティング大手の「アクセンチュア」や、企業向けソフトウエアの開発を手掛ける「SAPジャパン」といった大手ICT企業、会津大発のベンチャー企業など18社がオフィスを設け、社員約200人余りが勤務しているとのことです。
 運営会社アユムの副社長でもある白井武男氏は、我々設計者は関係機関との連携を含め、事業主・発注者が求める施設整備の企画・運営に関わるエリアまで業務領域ととらえる必要があると話すとともに、「今回のプロジェクトは地元企業や金融機関、電力会社の協力があって実現できたもの。設計・監理から運営にまでたずさわり、多くのグローバル企業誘致にも成功した。今後はここのインキュベーション機能を活用し、会津大学の学生たちがベンチャー企業としてグローバルビジネスを展開してくれることを期待している」と語った。

そのアイクト内に拠点を設けたICT企業と市内の企業が連携して施設内の交流スペースにオープンさせたのがカフェ&バー「あゆむCafe」です。量り売りするシステムを開発・導入、会計の一部セルフサービス化に成功し、業務の効率化を成功させました。ランチ時に常時20品程度並ぶおかずは全て3円/グラム、レジで計量するとデータがタブレット端末に表示され、別料金のご飯とみそ汁を購入する際はその場で入力、瞬時に合計金額が示されるとのことで、効率性を追求した結果、50席程度の同店で働く従業員はたったの4人です。また、入居している三菱商事の竹平氏(デジタルイノベーションセンター長)はカフェの事例を含め会津大学の研究者や学生と施設内入居者のネットワーク構築など新たな相乗効果が生まれている中で地域との連携も強くなっていると話していた。